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長周期地震

何から始める?長周期地震動に備える企業の地震対策と職場点検の進め方

「自社の建物は地震に耐えられるだろうか」——地震対策というと、多くの方がまず建物そのものの強さを思い浮かべます。もちろんそれは重要な問いですが、企業にとってはそれだけでは不十分です。本当に考えるべきなのは、「地震の最中、そして地震の後、建物の中で何が起きるのか」という問いです。本記事では、長周期地震動を踏まえた企業の地震対策を、明日から始められる具体的なステップとして整理します。長周期地震動の仕組みや事例については、前回までの記事もあわせてご覧ください。

何から始める?企業の地震対策

事業継続計画(BCP)というと、システムのバックアップや従業員の安否確認、取引先との連絡体制、データの保全といった側面が語られることが多くあります。しかし、物理的なリスクへの備えも、同じくらい重要な要素です。重要な設備が破損したり、通路がふさがれたり、従業員が重要なエリアに安全にたどり着けなかったりすれば、事業は簡単には継続できません。

気象庁は、長周期地震動によって高層ビルが大きく長時間揺れ続けることがあり、家具類が倒れたり落ちたりするだけでなく、大きく移動する危険もあると説明しています。また、過去の地震では、高層ビルでエレベーターのワイヤーの損傷や停止による閉じ込めといった被害も報告されています。転倒したキャビネットが従業員をケガさせ、通路をふさぐ。移動した機器が破損し、別の機器へのアクセスも妨げる。エレベーターの停止によって、上層階の設備の点検や操作が難しくなる——これらは、地震の安全対策であると同時に、事業継続上の課題でもあります。

Strong long-period ground motion may cause furniture and fixtures in high-rise buildings to shift or topple, potentially affecting elevator operations.

「もしこの階が数分間揺れ続けたら」で始める職場点検

具体的な対策の第一歩として有効なのが、職場を実際に歩いて点検することです。各エリアを回りながら、「もしこの床が数分間、繰り返し揺れ続けたら、何が動き、落ち、倒れ、通れなくなるだろうか」と自問してみてください。

長周期地震動は一瞬の衝撃ではなく、揺れが長く繰り返し続く点が特徴であるため、この問いかけは実務上とても役に立ちます。点検の対象としては、オフィス、会議室、倉庫、実験室、サーバールーム、生産エリア、医療エリア、受付、給湯室や休憩スペースなどが挙げられます。背が高いもの、重いもの、キャスターなどで動きやすいもの、固定されていないもの、人の近くにあるものには、とくに注意を払う必要があります。

すべてを同じように守る必要はない。重要設備の優先順位のつけ方

施設内のすべての什器・設備が、同じ重要度を持つわけではありません。まず取り組むべきは、故障・破損した場合に安全や業務に大きな影響を与える設備を特定することです。サーバーやネットワーク機器、実験用機器、医療機器、冷蔵・冷凍設備、製造機械、通信システム、専門的な機械類、重要なオフィス機器などが代表例です。それぞれの設備について、「動いたり使えなくなったりしたら、生産は止まるか」「顧客への影響はあるか」「従業員が業務を遂行できなくなるか」「安全手順に支障が出るか」「代替品の調達に数日から数週間かかるか」を考えてみましょう。こうした問いへの答えが、対策の優先順位を決める手がかりになります。

It is essential to identify equipment whose failure or damage would have a significant impact on safety or business operations. Servers and network equipment are prime examples.

重要設備だけでなく、一般的な什器も見過ごせないリスクです。背の高いキャビネットや棚は転倒することがあり、収納ユニットは移動し、オフィス機器は滑ることがあります。高い位置に保管されているものが落下することもあります。気象庁も、高層ビルにおける長周期地震動の影響を評価する際、家具・什器の移動や転倒を考慮すべき要素として挙げています。とくに、デスクの近く、会議スペースの近く、通路の脇、非常口の近く、階段付近、窓の近く、重要な設備のそばにある什器には、注意深く目を向ける必要があります

Even ordinary fixtures pose a risk that shouldn't be overlooked.

キャスター付き機器こそ要注意。什器・可動機器の対策ポイント

避難経路の確保も、とくに重要なポイントです。通常時であれば数センチメートル動いた程度の什器は、大きな問題に見えないかもしれません。しかし緊急時には、わずかな障害物であっても、避難や移動を難しくする要因になります。米国の労働安全衛生局(OSHA)も、地震時の職場のハザードの多くは予測でき、ハザードの洗い出し、計画、軽減策によって減らせると説明しています。あわせて、職場の調査で潜在的な危険を特定することや、設備・家具についてFEMA(米国連邦緊急事態管理庁)が推奨する対策に従うことを勧めています。通路、階段、非常口、通行スペース、消防設備へのアクセス経路、非常用備蓄のエリアなどは、定期的な点検の対象にすべきです。重い物を、動いた場合に人へ危険が及ぶような場所に置かないことも、あわせて確認しておきましょう。

高層ビルでは、階によって揺れ方が大きく異なることがあります。一般に、上層階のほうがより強い揺れを経験する傾向があるとされています。したがって、上層階にオフィスを構える企業は、地上階の状況だけを基準に対策を考えるべきではありません。上層階には、高価なコンピューターや実験機器、医療機器、保管システムなど、重要な資産が置かれていることも少なくないため、それぞれの特性と重要度に応じた評価が必要です。

キャスター付きの機器は、通常時には移動させやすく便利な存在ですが、地震の際にはその可動性がリスクに変わります。医療用カート、実験機器、冷蔵庫、冷凍庫、プリンター、可動式の収納棚、製造機械などが代表例です。それぞれの機器の重量、設置面、使用環境、メーカーの推奨事項に応じて、キャスターロック、拘束具、金具、ベルトなど、適切な固定方法を選ぶ必要があります。すべての什器・設備に同じ対策を一律に適用するのではなく、対象物ごとに最適な方法を検討することが、実務上のポイントになります。

対策は「設置して終わり」ではない。避難導線の確保と定期点検

対策は、一度設置して終わりではありません。職場のレイアウトは変わり、什器は移動し、機器は入れ替わり、新しい保管システムが導入されます。数年前には適切だった固定方法が、現在の環境には合わなくなっていることもあります。什器が本来の位置にあるか、固定材が適切に取り付けられたままか、機器が移動していないか、避難経路が確保されているか、保管の配置が変わっていないか、重要設備が入れ替わっていないか、新たなハザードが生じていないか——こうした項目を、通常の設備点検のサイクルに組み込んでおくことをおすすめします。

物理的な対策を、より強固なものにするためには、事業継続計画(BCP)と結び付けて考えることが有効です。

重要な業務ごとに、「その業務にはどの設備が必要か」「その設備はどこにあるか」「地震で動いたり破損したりする可能性はあるか」「地震後、従業員はその設備にたどり着けるか」「エレベーターの停止はアクセスに影響するか」「その業務はどれくらい早く再開する必要があるか」「代替手段はあるか」を一つずつ確認してみてください。この作業によって、地震対策は単なる安全活動から、事業継続戦略の一部へと位置づけが変わります。

なお、建物の構造的な安全性はきわめて重要ですが、それだけで建物内のすべてを守れるわけではありません。気象庁も、長周期地震動階級はあくまで高層ビルで経験する揺れの度合いを示す指標であり、実際の影響は建物の個別の特性、地盤の条件、階数などによって異なると説明しています。ひとつの指標だけを万能な安全性評価として扱うのではなく、建物・什器や設備・業務内容をあわせて検討する姿勢が求められます。

最後に、ここまでの内容を簡単なチェックリストとして整理します。

  • ✅ 動く可能性のある物を洗い出す
  • ✅ 重要設備を特定する
  • ✅ 上層階を点検する
  • ✅ 避難経路を確保する
  • ✅ キャスター付き機器を見直す
  • ✅ 対象物に合った対策方法を選ぶ
  • ✅ 定期的に点検する
  • ✅ 結果をBCPに反映する

この8つのステップを順に確認していくことが、実践的な地震対策の出発点になります。

Equipment on casters is convenient and easy to move under normal circumstances, but during an earthquake, that mobility becomes a risk.

地震が起きてから什器を固定する時間はほとんどありません。高層ビルが実際に揺れ始めてしまえば、従業員が職場を回って機器を固定して回ることは現実的ではないためです。だからこそ、こうした対策は、揺れが始まる前に済ませておくことがもっとも効果的です。長周期地震動のように揺れが長く続く現象では、この「事前の備え」の重要性がとくに高まります。

穴あけ不要で始められる、プロセブンの地震対策という選択肢

「対策を始めたいが、壁や床、什器に穴を開けたくない」「レイアウト変更が多く、固定金具の付け外しが負担になる」——職場点検を進めるなかで、こうした課題に突き当たる企業は少なくありません。

プロセブンでは、ゲル状の粘着素材を使用した耐震マットをご用意しており、家具、棚、冷蔵庫、ラック、キャスター付きの機器など、幅広い什器・設備に活用いただけます。壁や床、対象物への穴あけや、大掛かりな工事を避けたい場面での導入に適しており、什器の入れ替えやレイアウト変更の際も取り外しが簡単です。もちろん、あらゆる什器・設備に万能な単一の対策方法は存在しません。対象物の重量や形状、設置環境、メーカーの推奨事項などを踏まえたうえで、適切な方法を選ぶことが前提になります。製品の詳しい特徴や活用事例については、製品ページをご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。

建物を守ることと、中身を守ることは別の課題

長周期地震動への備えは、建物の耐震性だけで完結するものではありません。建物の中で何が動き、何が重要で、何を優先的に守るべきかを整理し、避難経路を確保し、定期的に見直しを続けること——この積み重ねが、事業を守るレジリエンスにつながります。次の地震が具体的にどのような揺れをもたらすかを正確に予測することはできません。しかし、起こり得るハザードをあらかじめ洗い出し、揺れが始まる前に手を打っておくことは可能です。オフィス、実験室、病院、工場、倉庫など、高層施設を運営する企業にとって、什器・設備の見直しは、より広い事業継続戦略の一部として取り組む価値のある実務です。

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穴あけ不要・工事不要のアンカーレス耐震工法や、ゲル状の耐震マットなど、レイアウト変更が多いオフィスや、大掛かりな工事を避けたい施設でも導入しやすい地震対策をご用意しています。自社の状況に合った対策方法についてご相談されたい方は、お気軽にお問い合わせください。