「自分が住んでいる地域は地震が少ないから大丈夫」——そう感じている方は少なくありません。しかし長周期地震動は、震源から数百キロメートル離れた場所の高層ビルにも大きな揺れをもたらすことがある現象です。とくに高層階で働く方、暮らす方にとっては、決して他人事ではありません。
本記事では、長周期地震動がもたらす被害の実態と、企業や個人が今日から取り組める対策について、BCP(事業継続計画)の観点も交えながらわかりやすく解説します。
長周期地震動とは、地震の際に発生するゆっくりとした周期の大きな揺れのことです。周期が短く小刻みな揺れとは異なり、ゆったりと大きく、繰り返し揺れ続ける点が特徴とされています。
建物にはそれぞれ「固有周期」と呼ばれる揺れやすい周期があり、一般的に建物が高くなるほど固有周期は長くなる傾向があります。気象庁は、高層ビルは固有周期が長いため長周期地震動と共振しやすく、上層階ほど大きく揺れることがあると説明しています。ブランコを押すとき、揺れのタイミングに合わせて押し続けると振れ幅がどんどん大きくなるのと同じ原理です。震源が近いか遠いかにかかわらず、この共振が起きれば揺れは大きくなります。

さらに気象庁によると、長周期地震動は硬い岩盤よりも柔らかい堆積層で増幅されやすく、揺れが長く続く傾向があるとされています。大都市の多くは平野部や堆積盆地に位置しているため、震源から離れていても油断はできません。
高層階では揺れの増幅によって、家具の移動やキャビネットの転倒、什器の滑落などが起こりやすくなります。歩行や避難が難しくなるほどの揺れが生じることもあり、エレベーターが停止して長時間閉じ込められるケースも想定されます。気象庁は、従来の震度だけでは高層階での揺れの強さや被害の実態を十分に表せないとして、長周期地震動階級という独自の4段階の指標を設けています。震度が中程度であっても、高層階では家具の転倒や移動が起きるほどの揺れになりうるという点は、覚えておく必要があります。
つまり「震度が小さいから大丈夫」「自分の地域は地震が少ないから安心」とは言い切れないのが、長周期地震動の特徴です。地震のない地域に住んでいる、勤務しているという理由だけで安心せず、まずはご自身のオフィスや住まいが高層階にあるかどうか、什器や設備がどのように固定されているかを確認することが、対策の第一歩になります。

長周期地震動による被害は、遠方で発生した地震でも起こり得ることが、過去の事例から知られています。1985年のメキシコ地震では、震源から約400キロメートル離れたメキシコシティで甚大な被害が発生しました。これは、かつて湖であった場所の厚い堆積層が、長周期の揺れを大きく増幅させたためとされています。震源からの距離だけでは説明できない被害が生じた代表的な事例です。
日本国内でも、2011年の東日本大震災の際、東京など震源から離れた地域の高層ビルで、長く大きな揺れが観測されました。こうした事例は、震源からの距離だけで地震リスクを判断することの難しさを示しています。 揺れによる被害は、建物の構造そのものだけにとどまりません。オフィスであればキャビネットの転倒や書類・什器の散乱、病院であれば医療機器の転倒や薬品の落下、研究施設であれば精密機器の破損など、業種や設置している設備によって影響はさまざまです。人がケガをするリスクだけでなく、機器の修理・再調達にかかる費用や、業務の中断による損失といった経済的な影響にもつながります。

とくに人と設備が集中しやすいオフィス、ホテル、商業施設、データセンターなどの高層階では、什器・設備の転倒防止対策が、人の安全と事業継続の両面で重要な意味を持ちます。
地震対策というと、「費用がかかる割に効果がわかりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。とくに地震の少ない地域では、被害を実感しにくく、投資判断の材料も乏しいため、対策を後回しにしてしまいがちです。
しかし、地震が発生してからの復旧対応には、機器の修理・買い替え費用、業務停止による損失、人的被害への対応など、事前の対策費用を上回るコストがかかる場合があります。BCPの観点からは、被害が発生してから対応するよりも、被害そのものを未然に防ぐ、あるいは軽減する対策のほうが、結果として合理的な投資になると考えられています。
地震対策と一口に言っても、建物そのものの耐震補強から、什器・設備単位での転倒防止まで、方法や費用感はさまざまです。すべてを一度に見直す必要はなく、まずは人が多く集まる場所や、業務上重要な機器が置かれている場所など、リスクの高い箇所から優先的に対策を検討することで、費用を抑えながら効果的にリスクを軽減できます。

「国や行政の指導はどうなっているのか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。国や自治体では、防災・減災に向けたさまざまな取り組みやガイドラインの周知が進められています。ただし、具体的にどの設備をどこまで対策すべきかは、建物の構造や用途、設置されている什器・設備の種類によって異なります。自社・自宅の状況に合わせて、優先順位をつけながら検討することが現実的な進め方といえます。
また、費用対効果を考えるうえでは、「対策にかかる費用」だけでなく、「対策をしなかった場合に想定される損失」も合わせて考えることが大切です。什器の転倒による人的被害への対応、業務停止による機会損失、機器の再調達にかかる時間とコストなどを踏まえると、事前の備えは決して過剰な投資ではなく、事業を継続するための現実的な選択肢のひとつといえるでしょう。
「対策をしたいが、壁や床に穴を開けられない」「賃貸物件のため大掛かりな工事はできない」「レイアウト変更や引っ越しが多く、固定金具の付け外しが難しい」——こうした声は、地震対策を検討する多くの企業・個人から聞かれます。
プロセブンでは、壁や床、対象物に穴あけをしないアンカーレス耐震工法をご提案しています。専用の耐震マットと耐震金具を使用する方法のため、賃貸物件でも導入しやすく、対象物の入れ替えやレイアウト変更、引っ越しの際も取り外しが簡単です。工事や専門の設置業者を必要としないため、オフィスや施設を稼働させたまま設置でき、設置時の粉塵・振動・騒音もありません。
この工法は震度7を想定した検証を経ており、賃貸物件やレイアウト変更の多いオフィス、稼働を止められない施設など、従来の耐震工法では対応が難しかった場面でも活用いただけます。
「地震が起きてから対応する」のではなく、「起きる前に被害を減らす」という視点に立つことが、これからの地震対策の基本になります。まずはご自身の職場や住まいにある什器・設備を見直すことから、対策を始めてみてはいかがでしょうか。
長周期地震動は、震源から離れた地域や高層階であっても、大きな被害をもたらす可能性がある現象です。地震の少ない地域だからと安心せず、什器・設備の固定状況を確認し、優先度の高い箇所から対策を講じることが、人と事業を守る第一歩になります。費用対効果を意識しながら、できるところから少しずつ対策を進めていくことをおすすめします。

長周期地震動への備えは、工事不要・穴あけ不要のアンカーレス耐震工法であれば、賃貸物件やレイアウト変更の多いオフィスでも導入しやすくなります。製品の詳細や導入費用の目安について、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフが、貴社・ご家庭の状況に合わせた対策方法をご提案いたします。