ペットが家族の一員として暮らす時代に、動物病院やペットホテルは、その「家族」を預かる場所です。大きな地震が起きた瞬間、診療台の上の患者も、ケージの中の預かり動物も、自力では身を守れません。 動物病院・ペットホテルの地震対策は、動物の命を守るだけでなく、スタッフや来院者の安全、診療と営業の早期復旧、そして飼い主さまからの信頼にもつながります。この記事では、起こりうる被害、BCP(事業継続計画)の考え方、転倒防止・設備固定の具体例、費用対効果の見方を、公的な資料を交えて整理します。
被害は「人」「ペット(患者・預かり動物)」「機器・設備」の3つに分けると整理しやすくなります。ひとつの転倒や落下が、この3つに連鎖して広がります。 東京消防庁によると、近年の地震でけがをした人の3〜5割は、家具類の転倒・落下・移動が原因でした(※1)。診療室や処置室には、重い機器や棚が数多くあります。スタッフや来院者がけがをすれば、動物のケアも避難誘導も進められません。

2016年の熊本地震の記録を見ます。環境省の記録集によると、熊本県獣医師会の会員157病院のうち、診療施設に被害があったのは39病院でした。内訳は全壊1、大規模半壊2、半壊5、一部損壊31です。発災直後の4月20日時点では、診療が可能な病院が131、条件付きで可能な病院が11、不可の病院が15とされています(※2)。
熊本市内のある動物病院では、前震で機材の落下や書類の散乱、ケージの移動が起き、本震では機器の転倒、ガラスの破損、屋上の受水槽の配管破損による浸水が確認されました。給水は12日間、ガスは13日間止まりました。併設のペットホテルは200頭を超える動物を預かっていましたが、揺れによるけがや死亡はなく、神経質になる動物はいたとのことです(※2)。 被害の大きかった地域では、夜間の発災とライフラインの停止のなか、まず人の安全を確保し、その後に病院へ戻って動物の処置にあたった例が多くありました(※2)。揺れのあと、スタッフが動物のもとへ戻れる状態かも重要な視点です。
なお、地震調査委員会は2025年9月、南海トラフ巨大地震の30年以内の発生確率を「60〜90%程度以上」「20〜50%」の2通りで示し、いずれも最も高いランクとしています。
※1 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」平成27年度版(新宿区掲載)
動物の保管を業として行うペットホテルは、第一種動物取扱業にあたります。令和3年6月には、飼養施設や環境の管理などを具体化した基準省令が整い、犬猫を扱う事業者全般が対象となりました。ただ、確認できた範囲では、地震時の固定方法を全国一律で細かく定めた規定はありません。一方、自治体には動きがあります。船橋市の会議資料では、第一種動物取扱業者の防災対策として、防災訓練、事業者間の共助、事業規模に応じた災害対応マニュアルやチェックシートの整備が普及啓発の内容に挙がっています。運用は自治体で異なる可能性があるため、所在地の窓口や獣医師会で最新の案内を確認すると安心です。
一方、自治体には動きがあります。船橋市の会議資料では、第一種動物取扱業者の防災対策として、防災訓練、事業者間の共助、事業規模に応じた災害対応マニュアルやチェックシートの整備が普及啓発の内容に挙がっています(※7)。運用は自治体で異なる可能性があるため、所在地の窓口や獣医師会で最新の案内を確認すると安心です。 企業としての判断軸になるのが、BCP/BCMです。内閣府の事業継続ガイドラインは、BCPを危機的事象への対応計画、BCMを平常時からのマネジメントとして整理しています(※3)。基本は、守るべき重要業務と目標復旧時間を決め、事前の対策を進めることです。

動物病院なら、入院動物の安全確保、救急対応、診療の再開などが重要業務の候補です。設備の転倒・落下防止は、被害そのものを減らし、復旧までの時間を短くする土台になります。複数拠点がある場合は、共通の固定基準を決めておくと抜けを防げます。
導入費用だけを見ると、費用対効果は判断しにくくなります。守れるもの(機器・薬品・動物)、止めずに済む時間、保てる信頼もあわせて見ましょう。
熊本地震の事例では、給水やガスが長期間止まりました(※2)。ライフラインの停止は院内の対策では防げません。だからこそ、転倒や落下という「自分たちで減らせる被害」を先に抑えておくと、限られた人手を診療再開に向けられます。東京消防庁も、家具類の転倒・落下・移動防止は、けがの防止に加えて地震時の出火防止にも有効だとしています(※1)。 対策の優先順位は、次の順で考えると進めやすくなります。これは考え方の一例です。

工事を伴う固定では、診療日程の調整、業者の手配、工事費が加わります。工事不要で稼働しながら設置できる方法なら、導入までの負担を抑えられます。費用は対象物の数や種類で変わるため、まず優先度の高い場所の洗い出しから始めましょう。
対象物の重さや形、設置面の状態で適した固定方法は変わるため、現場に合わせた確認が前提です。
作業台・診療台:処置中の動物とスタッフを守る
診療台や作業台は、動物を保定し、スタッフが近い距離で作業する場所です。台が動いたり、上の器具が落ちたりすれば、双方に危険が及びます。台本体の固定と、天板の上の物の落下防止を分けて考えましょう。
検査・治療設備:復旧の時間を左右する機器
診断や入院管理に使う機器は高額で、代わりを用意しにくいことがあります。機器が倒れたり動いたりすると、破損に加えて診療再開までの時間が延びます。熊本市内の病院でも、機器の転倒が報告されています(※2)。
ラック・棚:頭上と通路の両方を見る
ケージや備品を載せたラックや棚は、倒れると動物の安全だけでなく、出入口や通路もふさぎます。東京消防庁も、家具類の転倒が避難の妨げになる点に触れています(※1)。熊本地震では、預かり施設で家具の倒壊や断水といった被害も確認されました。
薬品庫:倒れる、開く、落ちるを防ぐ
薬品庫が倒れたり扉が開いたりすると、容器が割れて薬品が散らばるおそれがあります。動物とスタッフが同じ空間にいるため、周囲の安全を守る視点も必要です。
休憩所のTV・電子レンジ・棚:見落としがちな”人の安全”
休憩所も対策の対象です。消防署の注意喚起では、能登地方の地震で、落下防止をしていなかった電子レンジが落下した事例が紹介されています。
動物病院やペットホテルの耐震対策を、一律に評価する公的な認定制度は、確認できた範囲では見当たりません。そのため、次の4つの視点が目安になります。
飼い主さま自身の備えも大切です。環境省は、飼い主の責任によるペットとの同行避難を基本としています(※4)。熊本地震の同行避難者へのアンケートでは、ペット用の避難袋を準備していた人は59人中6人でした(※2)。施設の備えと飼い主さまの備えがそろえば、被害は小さくなります。


ここまでの課題に対して、プロセブン耐震マットと専用の耐震金具を使うアンカーレス耐震工法は、次のように役立ちます。
何から始めればいい?壁や床に穴をあけずに固定できます
プロセブンは、壁や床、対象物に穴をあける必要がありません。工事も不要で、設置業者を手配せずに導入できます。
診療や営業を止めたくない:稼働しながら設置できます
設置は、診療や営業を続けながら行えます。設置時に粉塵・振動・騒音が出ないため、動物がいる環境でも作業を進めやすい点が特長です。
レイアウト変更や移設があっても:取り外しが簡単です
対象物の入れ替えや移動の際も、取り外しが簡単です。設備の更新が想定される現場でも、固定を見直しやすくなります。
動物への影響が気になる:抗菌・防カビ仕様です
動物がいる環境では、材質や配置が気になるものです。プロセブンは抗菌・防カビ仕様です。設置する対象物や配置については、動物の動線やケージの位置も踏まえて、お問い合わせの際にご相談ください。
本当に効果があるのか:震度7で検証済み、病院での設置実績も多数
プロセブンは、震度7で検証済みです。病院への設置実績も多数あります。検証の内容や、お使いの設備への適合については、商品ページやお問い合わせでご確認ください。


動物病院・ペットホテルの地震対策は、人、ペット、機器・設備の3つを同時に守る取り組みです。熊本地震の記録からも、転倒や落下、ライフラインの停止が診療や預かりに影響したことがわかります。
BCP/BCMの視点では、設備の転倒防止・固定は、被害の軽減と早期復旧につながる取り組みやすい一歩です。 地震が起きてからの対応より、被害そのものを減らす対策のほうが、動物にとっても、スタッフにとっても、飼い主さまの信頼にとっても大きな意味を持ちます。優先度の高い場所から着手してみませんか。
診療台、検査機器、ラック、薬品庫、休憩所の家電など、固定したい対象が決まっていれば、まずはご相談ください。現場の状況を伺ったうえで、プロセブンでの対策をご案内します。
大切な家族を預かる場所だからこそ、揺れへの備えを。
